複合材・積層材の剥離検査 Application Notes - Delamination Detector
複合材・積層材の剥離検査
航空機や自動車、鉄道、船舶などの工業製品では、軽量かつ高い強度を持つガラス繊維・炭素繊維強化プラスチック(GFRP・CFRP)といった複合材をはじめ、金属と樹脂、金属同士、樹脂同士などを接着・積層した様々な部材が使用されています。このような複合材・積層材を用いることで、単一の材料では得られない優れた特性を実現することができます。
一方で、その構造上、外部からの衝撃や経年劣化、製造不良によって剥離・層割れといった欠陥が発生するおそれがあり、製品の品質と安全性に極めて大きな影響を与えるため、現場での保守検査や製造時の品質管理において、素早く確実に欠陥を検出することが重要です。
ここでは、剥離検査器を用いた複合材・積層材の検査方法について説明します。
測定方法
剥離検査器『TQ-92』を用いて、2枚の板材を接着した複合板の接合不良(剥離)を検出する手順を説明します。ここでは、アクリルとステンレスの複合板を試験体とします。 まず、試験体の健全部で剥離検査器の調整を行います。『TQ-92』の場合、機器を調整モードにして健全部をプローブで走査(スキャン)すると、自動でパラメータ調整が行われます。 次に、検査対象部(健全部と同等の特性を持つべき部分)をプローブで走査します。プローブを当てている部分の振動特性を数値化した値が画面に表示され、剥離箇所(健全部に対する振動特性の大きな差異)を検出すると、アラーム音とランプで通知します。
検査手順は以上です。複合材・積層材には様々な種類がありますが、基本的に同じ手順で検査が可能です。超音波探傷器と異なりカプラント(接触媒質)を塗布する必要がなく、資格や熟練も不要なため、特定の用途においては剥離検査器の方が、圧倒的に早く手軽に検査を行うことができます。さらに、樹脂同士や金属同士の接合不良はもちろん、超音波が伝播しない合板(木材)や多孔質材料の検査も可能です。