規格・用語集 - フェライトメーター Standard / Glossary - Ferrite Meter
フェライト含有量測定に関する規格を紹介します。また、フェライトメーターに関する各種用語についても分かりやすく説明します。
関連規格
フェライト含有量測定に関する日本産業規格(JIS)およびISOなどの一覧です。関連する規格を探す際にご利用ください。
規格番号 | 規格名称 |
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JIS Z 3119 | オーステナイト系及びオーステナイト・フェライト系ステンレス鋼溶着金属のフェライト量測定方法 |
ISO 8249 | Welding − Determination of Ferrite Number (FN) in austenitic and duplex ferritic-austenitic Cr-Ni stainless steel weld metals |
DIN EN ISO 17655 | Destructive tests on welds in metallic materials — Method for taking samples for delta ferrite measurement |
ANSI/AWS A4.2M/A4.2 | Standard Procedures for Calibrating Magnetic Instruments to Measure the Delta Ferrite Content of Austenitic and Duplex Ferritic-Austenitic Stainless Steel Weld Metal |
用語集
フェライト含有量測定に関する専門用語とその説明です。疑問が解決しない場合は、お電話もしくはメールでお気兼ねなくお問い合わせください。
用語 | 説明 |
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フェライトメーター | 磁気誘導法という電磁気的な方式によって、オーステナイト鋼、二相ステンレス鋼溶接部のフェライト含有量を測定する計測器のこと。一般的に小型・軽量で持ち運びやすく、プローブを試験箇所に当てるだけで測定できるため、特に現場での検査に適する。 この分野のパイオニアであるフィッシャー・インストルメンツ社の製品名にちなみ、フェライトスコープの呼び名で広く知られている。 |
フェライトインジケータ | フェライト含有量測定器の一種で、フェライト量が既知の標準試料(インサート)と、測定する試験体の間で、機器内の磁石に対する吸引力を綱引きの原理で対比することにより、試験体のフェライト量の範囲を測定する。ダコタ・ジャパンでは取り扱いしていません。 |
マグネゲージ | フェライト含有量測定器の一種で、磁石と試験体間の吸引力がフェライト量に対応する原理を利用する。付属の永久磁石と試験体間の吸着が、ばねによって引き離されるときの力を測定し、換算表を用いてフェライト量を求める。ダコタ・ジャパンでは取り扱いしていません。 |
フェライト | 酸化鉄を主成分にコバルト、ニッケル、マンガンなどを混合焼結して製造される強磁性体のこと。粉末原料を高温で焼き固めることから、セラミックの一種(磁性セラミックス)にも分類される。鉄などの金属系磁性材料とは異なり、抵抗値が高く電流をほとんど通さないため、高周波回路に適した強磁性材料として、電気・電子機器に幅広く使用されている。 |
デルタ・フェライト | 純鉄(高純度の鉄)における、1392℃~1536℃(融点)の温度範囲での、安定した鉄の相(組織)のこと。デルタ鉄とも呼ばれる。フェライトメーターは、主にこのデルタ・フェライトの含有量を測定するために使用される。 |
フェライト含有量 | フェライト組織量とも呼ばれ、金属組織に含まれるデルタ・フェライトの量のこと。オーステナイト鋼、二相ステンレス鋼溶接部の機械的特性、耐食性に大きく影響するため、関連産業では規格や仕様などでフェライト量の範囲が規定されている。 フェライト含有量を表す単位には、%(フェライトパーセント)とFN(フェライトナンバー)の2種類があり、%は金属組織中のフェライト量を体積百分率で表したもので、FNは試験体と標準永久磁石間の吸引力に基づいてフェライト量を規定したものである。 |
オーステナイト | 主に高温条件下で形成される鉄鋼の相(組織)のひとつで、鋼の加工性や靭性を向上させ、耐食性に優れた性質を持つ。 フェライトが912℃を超えると結晶構造が変化し、オーステナイトに変化する。オーステナイトをさらに加熱して1392℃を超えると、デルタ・フェライトに変化する。 |
マルテンサイト | 焼き入れした鋼に生じる金属組織で、鉄鋼材料の組織の中で最も硬くて脆い性質を持つ。鋼を高温に加熱し、安定したオーステナイトの状態から急速に冷却することで形成される。 |
オーステナイト鋼 | オーステナイト系ステンレス鋼とも呼ばれ、クロムとニッケルを主成分とし、常温でオーステナイトを形成するステンレス鋼のこと。基本的にはフェライトを全く含まずオーステナイト単相だが、オーステナイト鋼用の溶接金属は、溶接時の高温割れ防止のため、通常数%~十数%のフェライトを含有している。 ステンレス鋼生産量の約6割を占め、優れた耐食性や靭性を活かして、食器などの家庭用品から自動車部品、建築資材まで幅広く利用されている。代表鋼種として、SUS304やSUS316が挙げられる。 |
二相ステンレス鋼 | オーステナイト・フェライト系ステンレス鋼とも呼ばれ、オーステナイト系ステンレスとフェライト系ステンレスを1対1の割合で混合したステンレス鋼のこと。それぞれの金属組織の長所を掛け合わせた、性質を持つ。 高温用途には向かない面もあるが、オーステナイト鋼と比べ、高い強度と同等以上の耐食性が強みで、水門、下水道設備、各種化学プラント用装置など、負荷の高い環境で幅広く利用されている。代表鋼種として、SUS329J1が挙げられる。 |
高温割れ | 溶接割れの分類のひとつで、溶接中および冷却中の高温度域で発生する割れのこと。溶接金属や熱影響部の粒界に生成する低融点化合物によって引き起こされる。 オーステナイト鋼の溶接時に発生する割れのほとんどが高温割れ(凝固割れ)で、その防止のため、溶接金属中に数%~十数%のフェライトを含有させることが有効である。 |
磁気誘導法 | フェライト含有量の測定方法の一種で、フェライトメーターの測定原理のこと。鉄心に巻かれた2つのコイル(励磁コイル、検出コイル)において、励磁コイルによる磁束を試験体に適用し、フェライト量に応じて変化する検出コイルの起電力を測定することで、フェライト含有量を測定する。原理上すべての磁性成分が検出されるため、デルタ・フェライトだけでなく、他のフェライト成分も測定できる。 |
磁束 | 磁界の強さの表し方のひとつで、ある面を通過する磁気の総量のこと。磁界の強さと方向を磁力線の束で表す際に、磁力線1本を1[Wb]としたときの、ある面における磁力線の数を磁束と呼ぶ。 |
起電力 | 電流の駆動力、または電流を生じさせる電位の差(電圧)のこと。磁気誘導法における起電力は、コイルを貫く磁束が変化することによってコイルに生じる誘導起電力のことで、この現象を電磁誘導と呼ぶ。 |