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フェライト含有量を測定する目的 Measuring Principle - Ferrite Meter

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フェライト含有量を測定する目的

フェライトとは

フェライトとは、酸化鉄(鉄サビ)を主成分とする強磁性体です。酸化鉄にコバルト、ニッケル、マンガンなどを混合した粉末原料を、セラミックスのように高温で成型・焼成することにより製造されます。ルーツは約100年前の1930年、東京工業大学電気化学科の研究室で、加藤与五郎博士と武井武博士が他の研究をしていた際に、測定器のスイッチを切り忘れたことがきっかけで偶然誕生したと言われています。

フェライトは、当時の常識を覆す新たな強磁性材料として誕生しました。強磁性材料とは、いわば磁石にくっつく材料のことです。一般的に鉄サビとして知られる赤サビは、ほとんど磁石に付きませんが、フェライトは鉄サビを主成分としながら、磁石に付く不思議な性質を持ちます。

また電気的特性として、鉄などの金属系磁性材料とは異なり、セラミックの一種であるため、抵抗値が高く電流をほとんど通しません。この性質により、フェライトは高周波回路に適した強磁性材料として、テレビやパソコン、携帯電話など、私たちの生活に欠かせない電気・電子機器に幅広く使用されています。

フェライトメーターで測定するフェライトは、デルタ・フェライトと呼ばれる鉄の相(組織)のことで、デルタ・フェライトはステンレス鋼溶接部において、高温割れ(凝固割れ)防止に利用されたり、その含有量が品質管理の重要な指標になります。フェライトメーターは、フェライトが磁性を持つことを利用し、電磁気的な方法でステンレス鋼溶接部のフェライト含有量(組織量)を測定します。

測定の目的

化学工場やエネルギープラントなどでは、ボイラーやパイプラインが高温や高圧、腐食性の化学物質にさらされることが多々あります。従って、これらの設備に使用される鋼材自体はもちろん、特に劣化や腐食による破壊が起きやすいパイプ・タンク溶接部には、負荷の高い環境にも耐える優れた強度と耐久性が求められます。

それら設備の材料によく用いられるオーステナイト鋼、二相ステンレス鋼は、溶接部のフェライト含有量が機械的特性、耐食性に大きく影響します。フェライト含有量は、溶接時の不適切なフィラー材料や加熱冷却工程によって、不足したり過剰になったりします。フェライト量が不足すると強度劣化によるひび割れを招き、逆に過剰になると耐食性、靱性、柔軟性を低下させます。

このため、関連産業では規格や仕様などでフェライト含有量の範囲が規定されており、ステンレス鋼の製造プロセスや化学工場などの設備検査において、溶接継ぎ目のフェライト含有量を測定することで、品質管理を行っています。