ブリネル硬さ試験 Measuring Principle - Portable Hardness Tester
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ブリネル硬さ試験
ブリネル硬さ試験は、スウェーデンの金属工学のエンジニアであるヨハン・オーガスト・ブリネル(Johan August Brinell、1849~1925)により、1900年に提唱された金属材料の硬さ試験方法です。
ブリネル硬さ試験では、超硬合金球(圧子)を用い試験面にくぼみをつけたときの荷重を、くぼみの表面積で割ることで硬さを表します。他の硬さ試験手法に比べ大きく目立つ圧痕を残しますが、局所的ではなく平均的な硬さを測定することができるため、鋳造品や鍛造品等の硬さの不均一な材料や、粗い粒子構造を持つ材質の硬さ測定に適しています。
原理
ブリネル硬さ試験では、まず超硬合金球の圧子を試験面に一定の力(試験力)で押し込みます。次に、試験面にできたくぼみ(圧痕)の直径を顕微鏡などの光学装置で観察し、表面積を求めます。最後に、試験力をくぼみの表面積で割り、得た値をブリネル硬さとします。
ブリネル硬さ試験では、試験力をくぼみの表面積で割ったブリネル硬さの値の後ろに、圧子の直径や試験力などの硬さ記号(試験条件)を表示します。
圧子の直径と試験力の組み合わせ
直径1mm、2.5mm、5mm、10mmのいずれかの超硬合金球(tungsten carbide composite ball)を圧子として使用します。圧子の材質については、以前は鋼球の使用も可能でしたが、JIS Z 2243:1998により鋼球は廃止され超硬合金球のみとなりました。
試験力は9.807N~29.42kNの範囲で、くぼみの直径が圧子の直径の0.24~0.6になるような試験力と圧子の直径の組み合わせを選択します。
下の表は、JIS Z 2243-1:2018で示されている圧子の直径と試験力の組み合わせです。測定したブリネル硬さ値の後ろには、試験条件である硬さ記号を必ず表示します。
圧子の直径 D |
試験力 F |
硬さ記号 |
---|---|---|
10mm | 29.42kN | HBW10/3,000 |
14.71kN | HBW10/1,500 | |
9.807kN | HBW10/1,000 | |
4.903kN | HBW10/500 | |
2.452kN | HBW10/250 | |
980.7N | HBW10/100 | |
5 mm | 7.355kN | HBW5/750 |
2.452kN | HBW5/250 | |
1.226kN | HBW5/125 | |
612.9N | HBW5/62.5 | |
245.2N | HBW5/25 | |
2.5mm | 1.839kN | HBW2.5/187.5 |
612.9N | HBW2.5/62.5 | |
306.5N | HBW2.5/31.25 | |
153.2N | HBW2.5/15.625 | |
61.29N | HBW2.5/6.25 | |
1 mm | 294.2N | HBW1/30 |
98.07N | HBW1/10 | |
49.03N | HBW1/5 | |
24.52N | HBW1/2.5 | |
19.807N | HBW1/1 |
ブリネル硬さの算出
ブリネル硬さは、試験力をくぼみの表面積で割ることで算出できますが、その都度くぼみの表面積を算出しブリネル硬さを求めるのは煩雑で時間がかかります。JIS Z 2243-2:2018(ブリネル硬さ試験-第2部:硬さ値表)には、くぼみの平均直径からブリネル硬さを簡単に把握できるよう一覧表(表1 圧子の直径及び試験力-直径係数と試験力との関係、表2 ブリネル硬さ算出表)が掲載されています。自動読取装置ではなく顕微鏡等で手動でくぼみを測定する場合は、この表を利用することで表面積を計算する必要がなく、くぼみの平均径からブリネル硬さを簡単に求めることができます。
*ブリネル硬さ試験の詳細は、JIS Z 2243-1:2018(ブリネル硬さ試験-第1 部:試験方法)およびJIS Z 2243-2:2018(ブリネル硬さ試験-第2 部:硬さ値表)をご確認ください。