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リーブ硬さ試験 Measuring Principle - Portable Hardness Tester

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リーブ(リバウンド)硬さ試験

リーブ(リバウンド)硬さ試験

リバウンド硬さ計は、アメリカのリーブ博士が1978年に発明した硬さ測定原理に基づく硬さ試験機です。発明者に由来するリーブ硬さ計や、初めて販売された製品名称に由来するエコーチップ硬さ計とも呼ばれています。

リバウンド硬さ計は、検査員による測定のばらつきが小さく、熟練不要で誰でも簡単に使用できる点が大きな魅力です。測定した硬さは、ビッカース(HV)やロックウェル(HRC)、ブリネル(HB)に変換表示することが出来ます。
測定の繰り返し精度はそれほど高くないため、通常3回程度の測定を実施し、その平均値を硬さ測定値として採用します。

リバウンド硬さ計は、他の試験機に比べ安価で簡便に使用できることもあり、現在最も普及している金属用の硬さ試験機です。

測定原理

リバウンド硬さ計では、インパクトデバイスと呼ぶセンサーを測定箇所に接触させて金属の硬さを測定します。インパクトデバイスの内部には、タングステンカーバイド製のチップが組み込まれており、このチップをインパクトデバイス内部で試験体に落下させ、硬度を測定します。

具体的な測定手順は次の通りです。
まず測定箇所にインパクトデバイスを垂直に密着させます。次にインパクトデバイス上部のボタンを押し、チップをリリースし試験体に落下させます。落下したチップは金属表面に衝突し跳ね返ります。
インパクトデバイス内部の検出器(コイル)は、チップ落下時と跳ね返り時の誘導電圧を測定し、誘導電圧からそれぞれの音速を推定し硬さを算出します。

このようにリーブ硬さ試験は、チップの落下速度と跳ね返り速度を誘導電圧から推定し硬さを算出します。ロックウェアやビッカース硬さ試験のように圧痕の深さや大きさを測定する必要がないため、簡単に硬さを測定することができます。

リーブ(Leeb)硬さ方程式は次のとおりです。

HL = ( Vb / Va ) × 1000

HL:硬さ数値  Vb:跳ね返り速度  Va:落下速度

測定原理

インパクトデバイスの種類

インパクトデバイスには、汎用(標準)のDタイプの他、硬化層・薄物・小物測定用のCタイプ、歯車等の狭い箇所測定用のDLタイプ、鋳造・鍛造品用のGタイプ等、主要なもので5種類あります。
用途に応じて適切なインパクトデバイスを選択することで、信頼性に優れた高精度の硬さ測定を行うことができます。

インパクトデバイスの種類

主な用途
Dタイプ 幅広い用途で使用できる、標準的なインパクトデバイス
Cタイプ 軽く小さい物や、硬化層の表面の硬さ測定
DCタイプ 機械の内部やシリンダーや配管の内側など、縦幅が狭い場所での測定
DLタイプ 歯車等の狭い箇所の硬さ測定(インパクトデバイスのシャフト径4mm)
Gタイプ 鋳造品・鍛造品等の表面が粗い金属の硬さ測定

測定可能な試験体の条件

リバウンド硬さ計は、簡単に金属の硬さを測定することができますが、すべての形状・重さの金属を測定できるわけではありません。
ここでは、リバウンド硬さ計で測定可能な試験体の表面粗さ、重量、厚さ等を説明します。

表面粗さ

試験体の表面が粗いと誤差が大きくなり、場合によっては測定できない場合もあります。インパクトデバイスごとの適切な表面粗さは、以下となります。

インパクトデバイス 最大表面粗さ(Ra)
D、DC 3.2
G 7
C 0.4

重量・厚さ

試験体の重量が軽い場合は、平坦でかつ重みがある定盤のようなしっかりとした台(支持台)を用意し、その上で測定を行います。場合よっては、支持台と測定物の間に微量のグリスまたは高粘度の油を塗布し、密着せさる必要があります。また、測定物の厚みが薄い場合も、正しい硬さを得ることが出来ません。

インパクトデバイス 重量(kg) 最小厚さ(mm)
支持台と固定 支持台で保持 支持台不要
D、DC 0.05~2 2~5 >5 10
G 0.5~5 5~15 >15 10
C 0.02~0.5 0.5~1.5 >1.5 10

硬化層

ごく浅い表層の硬度測定は、正しい値が得られない可能性があります。測定可能な硬化深さは、以下となります。

インパクトデバイス 最小硬化深さ(mm)
D、DC 0.8
C 0.2

残留磁気

測定物に残留磁気があると、装置のセンサーに影響を与えて測定精度が悪化します。必ず脱磁を行った後に測定してください。また、測定中は強い磁気を回避してください。

その他

・試験体が板状の場合、たとえ重量や厚みが条件に合っていても、チップ衝突のエネルギーが逃げてしまい、正しい硬さを測定できない場合があります。衝撃の加わる反対面(裏側)を補強してください。

・曲率半径がR30以下の場合は、測定時にサポートリング(アダプター)を使用してください。

・試験体の温度は、60℃以下としてください。