アンカーボルトの長さ測定 Application Notes - Ultrasonic Flaw Detection
アンカーボルトの長さ測定
アンカーボルトとは、構造物や設備機器をコンクリートの基礎に固定するために、コンクリートに埋め込んで使用するボルトのことです。
基礎部分に埋め込まれたアンカーボルトは、構造体や設備機器の底部に貫通させナットで固定します。構造物や設備機器は風や地震等から力を受けますが、アンカーボルトはそれらの力により構造物や設備機器が基礎から分離・転倒することを防ぎます。
しかしながら、施工不良や不正によりアンカーボルトの埋め込み長さが不足していると必要な強度が得られず、風や地震等の力により基礎から分離・転倒する恐れが生じます。このため、アンカーボルトの長さを管理することは非常に重要です。
ここでは、超音波探傷器を用いたあと施工アンカーボルトの長さ測定について説明します。
※ 詳細は、「超音波パルス反射法によるアンカーボルト長さ測定要領(案)」(国土交通省 平成15年11月14日)を参照ください。
測定方法
超音波探傷器を用いて、アンカーボルトの長さを簡単に短時間で、そして正確に測定することができます。
探触子(プローブ、トランスデューサー)
アンカーボルトの長さ測定では、アンカーボルト測定面の断面積以下の直径の探触子を使用します。通常、周波数は5MHz、振動子の公称寸法は10~20mmの垂直探触子を使用します。
探触子 | 公称周波数 | 振動子の公称寸法 |
---|---|---|
垂直探触子 | 5MHz | 10mm~20mm |
ゼロ点調整
STB-A1試験片、もしくは測定対象のアンカーボルトと同等の材質の対比試験片で、ゼロ点調整を実施します。
試験片に探触子を密着させ、底面(先端)エコーのエコー高さを80%に調整します。超音波探傷器に試験片の実測長が表示されるように、ゼロ点と音速を調整します。ビーム路程の測定は、ピーク位置で行います。また、測定範囲はアンカーボルトの2倍程度に設定します。
感度調整
実際の施工に用いた同種のアンカーボルトを使用し、感度の調整を行います。
探触子をボルト頭部に密着させ、底面(先端)エコーのエコー高さを80%に調整します。ゲートレベルを20~50%に、ゲート幅はアンカーボルトの長さ以上に設定します。探傷器に表示される長さが実測長の±1%を超える場合は、音速を調整し±1%以内にします。なお、ビーム路程の測定は、ピーク位置で行います。
アンカーボルトの長さ測定
探触子が密着するようにアンカーボルトの頭部を平滑に処理します。汚れなどが付着している場合はきれいに拭き取ります。頭部の凹みの処理や汚れの除去を行わないと、超音波がボルトに入射しないため、測定ができない場合があります。
ボルト頭部に探触子を接触させ、ボルト先端からの底面(先端)エコーの中で、最もビール路程が短いエコーの高さを50~80%に調整し、ピーク位置でビーム路程を読み取ります。読み取った値を、アンカーボルトの測定値とします。
底面(先端)エコーが確認できない場合や、設計長との差が大きい場合は、頭部処理を入念に行い、再度測定を実施します。アンカーボルトの曲りが大きい場合には測定できない場合もあります。測定ができない場合は、「測定不能」とします。
DFXシリーズでは、ボタン1つで測定画面(Aスコープ、測定条件)を保存することができるため、現場で簡単に測定結果を記録することができます。