規格・用語集 - 超音波探傷・厚さ測定 Standard/Glossary - Ultrasonics Flaw Detector & Thickness Gauge
超音波探傷・厚さ測定の関連規格から装置の機能に関する用語まで、様々な用語を分かりやすく説明します。
超音波探傷・厚さ測定 関連規格(日本産業規格:JIS)
超音波探傷試験と超音波厚さ測定に関する日本産業規格(JIS)の一覧です。関連する規格を探す際にご利用ください。
共通・資格・認証
規格番号 | 規格名称・概要 |
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JIS Z 2300 |
非破壊試験用語 非破壊試験に関する主な用語と、その定義について規定 |
JIS Z 3021 |
溶接記号 溶接記号と溶接記号の表示方法について規定 |
JIS Z 8203 |
国際単位系(SI)およびその使い方 国際単位系(SI)とその使い方について規定 |
JIS Z 2305 |
非破壊試験―技術者の資格および認証 認証機関による、非破壊試験技術者への資格と認証システムについて規定 |
JIS G 0431 |
鉄鋼製品の雇用主による非破壊試験技術者の資格付与 鉄鋼製造業者が、鋼管、鋼鉄、鋼体、レール、棒鋼、形鋼、線材および線の検査を行う非破壊試験技術者への雇用主による試験付与のシステムについて規定 |
JIS W 0905 |
航空宇宙用非破壊検査員の技量認定基準 航空宇宙用材料や部品の検査を行う非破壊検査員の教育訓練と技量認定に関する最小限の要求事項について規定 |
超音波厚さ測定
規格番号 | 規格名称・概要 |
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JISZ2355-1 |
非破壊試験―超音波厚さ測定―第1部:測定方法 超音波パルスによる超音波厚さ測定装置を用いて,金属材料及び非金属材料に対して保守検査又は製品検査を行う場合の厚さ測定方法について規定 |
JISZ2355-2 |
非破壊試験-超音波厚さ測定- 第2部:厚さ計の性能測定方法 超音波パルス反射法を用いた超音波厚さ計のうち,一振動子又は二振動子探触子を使用した超音波厚さ計の性能測定方法及び合格基準について規定 |
超音波探傷試験
規格番号 | 規格名称・概要 |
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JIS G 0582 |
鋼管の超音波探傷検査方法 外径9mm以上、厚さ1mm上で、厚さ/外径比20%以下の継目無鋼管と電気抵抗溶接鋼管の、溶接部の長手方向きずの超音波斜角探傷検査方法について規定(*溶接ステンレス管には適用しない) |
JIS G 0584 |
アーク溶接鋼管の超音波探傷検査方法 内外両面を、長手方向またはスパイラル状に自動アーク溶接によって製造した、外径350mm以上かつ、厚さ6mm以上の炭素鋼管とフェライト系合金鋼管溶接部の、自動または手動による超音波探傷検査方法について規定 |
JIS G 0587 |
炭素鋼鍛鋼品および低合金鋼鍛鋼品の超音波探傷試験方法 厚さ20mm以上および外径部の曲率半径が50mm以上の炭素鋼と低合金鋼の鍛鋼品の、パルス反射法を用いた超音波探傷器による超音波探傷試験方法 |
JIS G 0601 |
クラッド鋼の試験方法 圧力容器、ボイラ、原子力、貯槽などに使用するクラッドで、母材を鋼材とし、合せ材をステンレス鋼または非鉄金属としたクラッド鋼の試験方法について規定 |
JIS G 0801 |
圧力容器用鋼板の超音波探傷検査方法 原子炉、ボイラ、圧力容器などに使用する厚さ6mm以上、300mm以下の炭素鋼または合金鋼の鋼板に対する自動または手動による超音波探傷検査方法について規定(*ステンレス鋼には適用しない) |
JIS G 0802 |
ステンレス鋼板の超音波探傷検査方法 厚さ6mm以上、200mm以下のステンレス鋼板の超音波探傷検査方法について規定 |
JIS G 0901 |
建築用鋼板および平鋼の超音波探傷試験による等級分類と判定基準 鋼構造建築物の主要構造材の中で厚さ方向に著しく高い応力が作用する部材で、厚さ13mm以上200mm以下の鋼板、および厚さ13mm以上200mm以下かつ幅180mm以上の平鋼の、超音波探傷試験による等級分類および判定基準について規定 |
JIS H 0516 |
チタン管の超音波探傷検査方法 チタン継目無管および溶接管のきずを検出する超音波探傷検査方法について規定 |
JIS K 7090 |
炭素繊維強化プラスチック板の超音波探傷試験方法 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)板に内在する大きさ2×2mm以上、または直径2mm以上のはく離などの傷を、超音波パルスを用いて水浸法によって検出する超音波探傷試験方法について規定 |
JIS R 1602 |
ファインセラミックスの弾性率試験方法 機械部品、構造材料などの高強度材料として使用されるファインセラミックスの常温における弾性率試験方法について規定 |
JIS Z 2344 |
金属材料のパルス反射法による超音波探傷試験方法通則 パルス反射法によるAスコープ表示方式で、金属材料の不健全部を検出し評価する超音波探傷試験の一般事項について規定 |
JIS Z 2345 |
超音波探傷試験用標準試験片 超音波探傷装置の校正、調整および探傷感度の調整に使用する標準試験片について規定 |
JIS Z 2350 |
超音波探触子の性能測定方法 公称周波数が、0.5MHz以上15MHz以下の超音波探触子の性能測定方法について規定 |
JIS Z 2351 |
超音波探傷器の電気的性能測定方法 手動操作で使用する超音波パルス反射法によるAスコープ表示器をもつ超音波探傷器を、電子測定器を用いて行う電気的性能測定方法について規定 |
JIS Z 2352 |
超音波探傷装置の性能測定方法 手動操作で使用する超音波パルス反射法によるAスコープ表示器をもつ超音波探傷器と探触子とを組み合わせた状態または疑似信号を用いて、超音波探傷装置の性能を測定する方法と定期点検の方法について規定 |
JIS Z 2353 |
超音波パルス法による固体の音速の測定方法(対比試験片を用いる方法) 超音波パルス反射法および透過法により、対比試験片を用いて固体の音速を測定する方法と測定結果を表示する方法について規定 |
JIS Z 2354 |
超音波パルス反射法による固体の超音波減衰係数の測定方法 等方性黒鉛材料のあらゆる方位を向いた面状きずを、一探触子でパルス反射法を利用し、水中で行う超音波自動探傷検査の方法について規定 |
JIS Z 2356 |
黒鉛素材の超音波自動探傷検査方法 等方性黒鉛材料のあらゆる方位を向いた面状きずを、一探触子でパルス反射法を利用し、水中で行う超音波自動探傷検査の方法について規定 |
JIS Z 3060 |
鋼溶接部の超音波探傷試験方法 厚さ6mm以上のフェライト系鋼の完全溶込み溶接部を、パルス反射法を用いたAスコープ表示の超音波探傷器で、超音波探傷試験を手動で行う場合のきずの検出方法、位置および寸法の測定方法について規定 |
JIS Z 3062 |
鉄筋コンクリート用異形棒鋼ガス圧接部の超音波探傷試験方法および判定基準 異形棒鋼(JIS G 3112に規定)のガス圧接部の超音波探傷試験方法および試験結果の判定基準について規定 |
JIS Z 3070 |
鋼溶接部の超音波自動探傷方法 厚さ6mm以上のフェライト系鋼の安全溶込み溶接部の、一探蝕子法または二探蝕子法のパルス反射法による超音波斜角探傷試験において試験を自動で行う場合の装置、探傷方法および探傷画像の表示方法について規定。(*鋼管の製造工程中の継手溶接部および原子力プラントの溶接部には適用しない) |
JIS Z 3080 |
アルミニウムの突合せ溶接部の超音波斜角探傷試験方法 厚さ5mm以上のアルミニウムおよびアルミニウム合金板の完全溶込み突合せ溶接部に対して、パルス反射法によるAスコープ表示の探傷器を用いて行う超音波斜角探傷試験方法について規定 |
JIS Z 3081 |
アルミニウム管溶接部の超音波斜角探傷試験方法 アルミニウムおよびアルミニウム合金管の完全溶込み溶接部を、パルス反射法のAスコープ表示の探傷器を用いて管外面から行う超音波斜角探傷試験方法について規定(外径が100mm以上15、000mm以下で肉厚が5mm以上のアルミニウム管の長手継手溶接部のうち肉厚tと外径Dの比t/Dが16%未満のものに適用) |
JIS Z 3082 |
アルミニウムのT形溶接部の超音波探傷試験方法 厚さ5mm以上のアルミニウムおよびアルミニウム合金板の完全溶込みT形溶接部に対して、パルス反射法によるAスコープ表示の探傷器を用いて行う超音波探傷試験方法について規定 |
用語集
超音波厚さ測定・超音波探傷試験に関する専門用語と、装置の機能に関する用語の説明です。
共通
用語 | 説明 |
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超音波 | 人間が聞くことができない20KHz以上の高い音波のこと。超音波厚さ計・探傷器では、一般的に1MHz~20MHzの超音波を使用する。 |
エコー | きずや裏面に反射し戻ってきた超音波のこと。 |
底面エコー | 試験体の裏面に反射し戻ってき超音波のこと。Bエコーと表示される。 |
きずエコー | きずに反射し戻ってき超音波のこと。Fエコーと表示される。 |
遅れエコー | 底面エコーやきずエコーと伝搬経路が異なったり振動様式の変換により、底面エコーやきずエコーよりも遅れて探触子に受信されるエコーのこと。 |
SN比 | 底面エコーやきずエコーなどの信号と、林状エコーなどの雑音(ノイズ)との比のこと。S/N比が大きいほど、きずの検出能が向上する。 |
音速 | 音の伝わる速度のこと。縦波と横波があり、同じ材質でも縦波と横波では音速が異なる。詳しくは各材質の音速一覧表を確認ください。 |
減衰 | 超音波が試験体を伝搬するときに振幅が次第に減少する現象のこと。減衰の度合いは試験体の結晶粒の大小や試験周波数の影響を受ける。 |
ゲート | 底面エコーやきずエコーなど、必要なエコーの情報を取り出す目的で時間軸(横軸)上に設けた監視範囲のこと。 |
探触子 (トランスデューサー) |
超音波の受発信を行うセンサーのこと。トランスデューサーやプローブとも呼ばれている。垂直探触子と斜角探触子に大別される。 |
垂直探触子 | 垂直探傷(試験体の探傷面にほぼ垂直に超音波を入射させて探傷する方法)や厚さ測定で使用する探触子のこと。 |
射角探触子 | 斜めに横波超音波が伝搬するように設計された探触子のこと。溶接部の探傷等で用いられ、超音波の屈折角には、主に45度・60度・70度が使用される。 |
SH波探触子 | 試験体の表面を水平に伝播する横波を発生する探触子こと。 |
一振動子探触子 | 超音波の発信と受信を1つの振動子で行う探触子のこと。直進性に優れ、正確な厚さ(ビーム路程)の測定が可能。 |
二振動子探触子 | 超音波の発信部と受信部が別々に設置された探触子のこと。ある程度表面状態が悪くても測定が可能で、超音波厚さ計で広く使用されている。 |
くさび | 超音波を探傷面に対して斜めに入射させる目的で、振動子の前面に付けるくさび状の樹脂のこと。 |
遅延材 | 薄物の厚さ測定や表面近傍の探傷を行うために、探触子の全面につける樹脂のこと。 |
接触媒質(カプラント) | 超音波の伝達のために、探触子と測定物の間に介在させる液体のこと。マシン油、水、グリセリン等でもよいが、専用剤の方が超音波の伝達に優れており、正確に測定することができる。カプラントとも呼ばれている。 |
標準試験片 | 形状、寸法、材質が規定され、超音波に対しても検定されている試験片のこと。装置の動作試験や感度調整などに用いられる。略号はSTBで表す。 |
対比試験片 | 超音波厚さ計・探傷器の動作・性能確認、零点・音速調整、感度調整および距離振幅曲線の作成などを目的のため使用される試験片のこと。測定対象物の一部か同一材質で製作する。略号はRBで表す。 |
Aスコープ | 縦軸に受信した超音波(エコー)の強さ、横軸に時間をとり、超音波を表示する方法のこと。 |
Bスコープ | 縦軸に距離、横軸に方位を示す方法で、試験体の断面方向の情報を得ることができる。断面表示とも呼ばれる。 |
マテリアルリスト | 各材料の音速値を一覧表示した表。この表の音速値は一例であり、材料の組成等により音速値の表記が多少異なる資料もある。 |
データロガー | 測定値を装置内部に保存する機能。保存した測定値は、後から呼出・表示したり、PCと接続して転送することができる。 |
セットアップ | 測定条件を装置内部に保存する機能。後から呼び出すことにより、以前設定した保存済みの測定条件を再現することができる。 |
IP等級 | 国際電気標準会議(IEC)の規格IEC60529(JIS C 0920:2003)に基づいて規定されている、装置への固形物や水の浸入に対する保護の等級表示。 |
超音波厚さ計
用語 | 説明 |
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零点調整用試験片 | 試験体の表面位置(厚さのゼロ位置)を合わせる時に使用する調整用試験片のこと。 |
自動零点調整 | 零点調整用試験片を用いずに、自動的に試験体の表面位置(厚さのゼロ位置)の調整を行う機能。 |
一点校正 | 一点校正により音速が調整される。事前に零点調整を実施する必要がある。測定対象物と同じ材料の対比試験片を用意し、実際の測定範囲の任意の箇所で、その厚さが表示されるよう調整する。 |
二点校正 | 二点校正を行うことにより零点と音速が調整さる。測定対象物と同じ材料の対比試験片を用意し、実際の測定範囲を含む任意の2つの厚さで調整する。校正を実施した2点間において、より高精度の厚さ測定が可能となる。 |
カップリングチェック | 探触子が測定物ときちんと接触し、超音波の受発信が適切に行われているかをチェックする、またはチェックする機能のこと。 |
スキャンモード | 1秒当たり通常よりも多い回数の画面表示を行い、通常の表示間隔では見逃してしまうような、瞬間的に捕捉した最小値または最少値と最大値を表示する。 |
アラームモード | 任意のあらかじめ設定した基準厚さを下回った場合や上回った場合に、LEDを光らせたりブザーを鳴らしたりして警報を発生する機能。 |
差厚測定モード | 任意のあらかじめ設定された基準厚さとの差の値を表示する。ディファレンシャルモードとも呼ばれている。 |
パルス・エコー方式 | 零点調整により設定したゼロ点と、1回目の底面エコーから厚さを求める方法。零点・第一回底面エコー方式とも呼ばれる。 |
エコー・エコー方式 | 1回目の底面エコーと、2回目の底面エコーから厚さを求める方法。表面に塗装がされていても、母材(素地)の厚さのみを測定することができる。多重エコー方式、スルーペイント機能、スルーコート機能とも呼ばれている。 |
超音波探傷器
用語 | 説明 |
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垂直法 | 試験体の探傷面に垂直に超音波を入射させて行う探傷のこと。垂直探触子を使用する。 |
斜角法 | 試験体の探傷面に斜めに超音波を入射させて行う探傷のこと。斜角探傷を使用する。 |
水浸法 | 試験体を水槽などの水中に置き、探触子と試験体の間に水を介在させて探傷する方法のこと。 |
直射法 | 斜角探傷において、超音波ビームを試験体の裏面に反射させずに直接探傷する方法のこと。 |
一回反射法 | 斜角探傷において、試験体の裏面に超音波ビームを1回反射させ探傷する方法のこと。 |
入射点 | 斜角探触子においてビーム軸が探傷面に入射する点のこと。STB-A1の100RまたはSTB-A3の50Rを用い、エコー高さが最大となる探触子の位置を入射点とする。 |
公称屈折角 | 斜角探触子に表示されている屈折角のこと。 |
STB屈折角 | STB-A1形またはA3形標準試験片を用いて実測した屈折角のこと。 |
ビーム路程 | 超音波ビームが、入射点からきずや底面などの反射源まで伝搬した距離(片道)のこと。 |
エコー高さ | 表示器(ディスプレイ)上に表示されるエコー高さのこと。%または、基準値との比や2つのエコーの比のdBで表す。 |
測定範囲 | 探傷器の表示器に表示される、探傷距離(ビーム路程)の範囲のこと。(横軸の左端から右端までの範囲のこと) |
探傷感度 | 評価対象として検出しようとするきずエコーの高さが、表示器上の読み取りやすいレベルに表れるように調整した感度のこと。探傷感度は、標準試験片(STB)や対比試験片(RB)を用いて調整する試験片方式と、試験体の健全部の底面エコーを用いて調整する底面エコー方式がある。 |
エコー高さ区分線 | きずエコーの高さを領域で区分して評価する為の線のこと。一般的に、H線、M線、L線の各線が定義されそれらの高さの比は6dBとなる。 |
距離振幅特性曲線(DAC) | ビーム路程または探傷距離によるエコー高さの変化を示す曲線のこと。探傷面からきずまでの距離が遠くなれば、ビームの広がりと減衰により、同じ大きさのきずでもエコー高さは小さくなる。H線、M線、L線の各線が定義されそれらの高さの比が6dBとなる線のことを、特にエコー高さ区分線と呼ぶ。 |
きずの指示長さ | きずエコー高さに閾値を設け、その閾値を超える探触子の移動範囲から推定するきずの長さのこと。 |
6dBドロップ法 | きずの指示長さ測定方法の1つで、きずの最大エコー高さの-6dBのレベルを超える探触子の移動範囲を欠陥とする方法のこと。 |
F/B | きずエコー高さの底面エコー高さに対する比のこと。 |
リジェクション | ある一定の高さ以下のエコー又はノイズを排除すること、またはその機能のこと。エコー高さの低いきずエコーを見落とす恐れがあるため、使用には注意が必要。 |