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超音波厚さ計の測定方式 Measuring Principle - Ultrasonic thickness gauge

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超音波厚さ計の測定方式

超音波厚さ計の測定方式

超音波厚さ計は伝播時間から厚さを算出しますが、伝播時間の測定には3つの方式があります。そのうちの1つであるエコー・エコー方式は、塗装上から素地(母材)の厚さのみを測定することができる大変便利な方式ですが、一方で誤測定のリスクが他よりも高いというデメリットがあります。
それぞれの方式にはメリットとデメリットがあり、その特徴を把握した上で厚さ測定を実施することが重要です。このページでは、超音波厚さ計の3つの測定方式について説明します。

3つの測定方式

超音波厚さ計は、トランスデューサー(プローブ・探触子)から発信した超音波が、試験体の反対面(裏面)に反射し戻ってくるまでの伝播時間をもとに厚さを算出します。伝播時間の測定には、以下の3つの方式があります。

ゼロ点・第1回底面エコー(パルス・エコー)
多重エコー(エコー・エコー)
表面エコー・第1回底面エコー(インターフェース・エコー)

ゼロ点・第1回底面エコー(パルス・エコー)方式は、エントリーモデルの超音波厚さ計からハイエンドモデルまで幅広い機種に搭載されている、最も基本的で使用頻度の高い測定方式です。試験体の表面状態がある程度悪くても測定が可能で、湾曲部や厚物の測定にも適しており、測定範囲も広く、汎用性の高い測定方式です。一方で、測定面に塗装(塗膜)が施されていると、素地(母材)と塗膜の厚さを合算した厚さよりも、大幅に厚い値が表示されてしまうデメリットがあります。

多重エコー(エコー・エコー)方式では、塗装の厚さを含まない、素地(母材)の厚さのみを測定することができます。通常ミドルレンジ以降の超音波厚さ計に搭載されています。ゼロ点・第1回底面エコー方式に比べると、表面状態や湾曲の影響を受け易いため誤測定のリスクが高く、ある程度の熟練者が実施する必要があります。または、波形表示機能付き超音波厚さ計を使用することで、誤測定を回避できます。

表面エコー・第1回底面エコー(インターフェース・エコー)は、遅延材付きのトランスデューサーで使用されている測定方式で、精密検査用の超音波厚さ計で採用されています。遅延材のため測定範囲は狭いですが、精緻な厚さ測定が可能です。
下の表は、それぞれの測定方式の概要を示したものです。

各測定方式の概要と特徴

測定方式 概要 特徴
ゼロ点・第1回底面エコー方式
(パルス・エコー方式)
ゼロ点と、第1回底面エコー(B1)との時間差から厚さを求める。 最も標準的な測定方式。第一回目底面エコーのみ検出すれば厚さを測定することができるため、試験体の表面状態がある程度悪くても測定することができる。
多重エコー方式
(エコー・エコー方式)
第1回底面エコー(B1)と第2回底面エコー(B2)との時間差から厚さを求める。 塗装の厚さを除いた素地(母材)のみの厚さ測定が可能。一方で、測定には第二回底面エコーの検出が必須のため、試験体の表面状態が悪い場合や鋳鉄等の減衰の大きな材料、湾曲部の測定、厚物の測定には適さない。
表面エコー・第1回底面エコー方式
(インターフェース・エコー方式)
表面エコー(S)と第1回底面エコー(B1)との時間差から厚さを求める 遅延材付きトランスデュ―サーで使用される測定方式の一つ。測定範囲は遅延材の長さに制限される。
測定方式 ゼロ点・第1回底面エコー
(パルス・エコー)
エコー・エコー
(多重エコー)
インターフェース・エコー
(表面エコー・第1回底面エコー)
探触子 接触型 遅延材付き
測定
イメージ
測定イメージ
エコー 波形(エコー) 波形(エコー) 波形(エコー) 波形(エコー)
対応機種 ZX-1 / 2 / 3 / 5
ZX-6、CMX、MVX PZX-7
PVX