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超音波厚さ計の仕組み Measuring Principle - Ultrasonic thickness gauge

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超音波厚さ計の仕組み

超音波厚さ計の仕組み

超音波厚さ計は、厚さ測定に特化した計測器として超音波探傷器から派生し誕生しました。当初は据え置きの大型装置でしたが徐々に小型化が進み、1970年代のバッテリー内蔵超音波厚さ計の登場とともに、普及が始まりました。

それ以降、波形表示、エコー・エコー(多重エコー方式)、メモリー(データロガー)、Vパス補正等の機能が順次搭載され、より便利で使いやすい超音波厚さ計に進化してきました。
このページでは、超音波厚さ計の仕組みについて説明します。

超音波厚さ計の仕組み

超音波厚さ計は、トランスデューサー(プローブ・探触子)と呼ぶセンサーから発信した超音波が、試験体の反対面(裏面)に反射し戻ってくるまでの時間(伝播時間)を計測し、その伝播時間から厚さを算出します。

具体的には、伝播時間(t)に測定物の音速(C)を乗じ、さらに伝播時間は往復に要する時間のため、1/2を乗じ厚さを算出します。

超音波厚さ計の仕組み

 厚さ(D)= 1/2 × C × t  C:音速 t:伝播時間 

材料の音速

音速は、材料ごとにおおよそ決まっています。下の表は、主要な材料の音速です。ただし、鋼でも鋼種が異なると、音速が異なります。鋼種の違いによる音速の差は比較的小さく2%程度ですが、アルミニウムや鋳鉄、ステンレスでは差が大きく種類が違うと20%以上も音速が異なる場合もあります。
また、全く同じ材質・材種でも温度により音速は異なります。一般的には、数℃の温度差による音速の違いは測定上大きな問題にはなりませんが、10℃以上異なると測定結果に影響を及ぼします。

正確な厚さ測定の為には、正しい音速を把握することが大切です。測定物と同じ材質・材種の試験片を用意し、実際の測定と同じ温度環境にて、音速の校正を実施することが重要です。

材料 音速(m/s)
5,920
ステンレス 5,660
アルミニウム 6,380
鋳鉄 4,550
プラキシガラス 2,690
ポリ塩化ビニル 2,390
ポリスチレン 2,340
ポリウレタン 1,780

単位:m/秒

計測できない測定物

超音波厚さ計は、超音波の伝播時間をもとに厚さを算出します。このため、トランスデューサー(プローブ・探触子)から発信された超音波が、反対面(裏面)で反射し再度トランスデューサーで受信されないと厚さを計算することができません。

例えば、測定面と反射面が平行でない場合、送信した超音波がトランスデューサーに戻ってこないため、厚さを測定することができません。
また、ゴムのように超音波が途中で減衰して消えてしまう高減衰材も測定ができません。木材や発泡プラスチックのように気泡を含む素材も、超音波が気泡を通過しないため、測定することができません。

接触触媒(カプラント)について

超音波は、物質の境界面で境界で反射するという性質を持っています。特に金属や樹脂等の固体と空気は音響インピーダンスが大きく異なるため、個体から空気、空気から固体へはほとんど超音波が伝播しません。このため、トランスデューサーと測定面の間には、超音波を伝達させるために、少量の液体を塗布し空気の層を無くす必要があります。
液体には、水や油の他に、カプラントと呼ばれる専用剤が使用されています。カプラントは超音波検査専用に作られているため、水や油よりも超音波の伝達に優れており、より高精度で信頼性の高い測定を行うことができます。