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超音波音速計による弾性率(ヤング率、ポアソン比、剛性率)の測定 Application Notes - Ultrasonic Velocity Gauge

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弾性率(ヤング率、ポアソン比、剛性率)の測定

弾性率(ヤング率、ポアソン比、剛性率)の測定

弾性率とは、弾性体に外力を加えた際に生じるの弾性変形における応力とひずみの割合のことです。
変形の種類により、ヤング率、ポアソン比、体積弾性率、剛性率などがあります。
弾性率は、物質の基本的な材料特性で、材料試験や研究において重要な意味を持ちます。

縦波音速と横波音速、密度を基に、ヤング率、ポアソン比、剛性率を算出することができます。このため、超音波厚さ計を用いて、縦波音速と横波音速を測定することで、弾性率を簡単に測定することができます。ここでは、縦波音速と横波音速の測定方法について説明します。

測定方法

一振動子探触子(トランスデューサー・プローブ)に対応するAスコープ表示付きの超音波厚さ計(CMX DL+、PVX)を使用します。
縦波音速は、一般的な厚さ測定用のトランスデューサー(プローブ・探触子)を用いて測定が可能です。
一方、横波音速の測定では、特殊な横波垂直探触子を用います。横波は縦波に比べて減衰し易いため、底面エコーを検出することができない場合は、2MHzの低周波の探触子を使用します。また、横波音速の測定では、ねり飴のように極めて粘度が高い専用のカプラント(接触媒質)を使用する必要があります。
測定対象物は表面を研磨し、探触子の密着性を確保しておきます。

まず、測定対象物の厚さをノギスやマイクロメーターで計測します。次に、計測した厚さを超音波厚さ計本体に入力し、音速校正を実施します。測定対象物の音速が表示されます。これを縦波垂直探触子と横波垂直探触子のそれぞれで行うことで、縦波音速と横波音速を測定することができます。

それぞれの音速と密度から、以下の式を用いて弾性率の算出します。

縦波音速(m/s)

横波音速(m/s)

密度(g/cm³)

ポアソン比

ヤング率(GPa)

剛性率(GPa)

ポアソン比(v)

12 × VL²-2VS² VL²-VS²

ヤング率(E)

ρVS² × 3VL²-4VS² VL²-VS²

剛性率

ρVS²
縦波音速
VL
横波音速
VS
密度
ρ
ポアソン比
v
ヤング率
E
物質 縦波音速(m/s) 横波音速(m/s) 密度(g/cm³)
5,870〜5,950 3,190〜3,260 7.80
鋳鉄 3,500〜5,600 2,200〜3,200 7.20
ステンレス鋼(304) 5,790 3,100 7.91
ステンレス鋼(410) 7,390 2,990 7.67
アルミニウム 6,260 3,080 2.70
黄銅 4,640 2,100 8.54
4,700 2,260 8.90
アクリル樹脂 2,730 1,430 1.18

*音速・密度共に代表的な値です。

対応トランスデューサー

周波数 種別 探触子 対応機種 部品番号
2.25MHz 10×10mm 横波音速測定用 一振動子 CMX DL+、PVX 2Z 10X10 SN
5.0MHz 10×10mm 横波音速測定用 一振動子 CMX DL+、PVX 5Z 10X10 SN
5.0MHz 10mm 縦波音速測定用 一振動子 CMX DL+、PVX TT-SC5-14
10MHz 10mm 縦波音速測定用 一振動子 CMX DL+、PVX TT-SC10-14