超音波音速計による黒鉛球状化率の測定 Application Notes - Ultrasonic Velocity Gauge
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超音波音速計による黒鉛球状化率の測定原理と測定方法
ダクタイル鋳鉄(FCD材:Ferrum Casting Ductile)とは、組織中の黒鉛(グラファイト)の形状を球状にすることで、ねずみ鋳鉄(FC材)に比べ優れた強度・粘り強さを持つよう改良された鋳鉄のことです。ダクタイル鋳鉄は、球状黒鉛鋳鉄やノデュラー鋳鉄とも呼ばれており、自動車等の強度が必要とされる部品や水道管で使用されています。
ここでは、超音波音速計を用いて黒鉛球状化率を判定する方法について説明します。超音波での黒鉛球状化率の測定は、簡単に短時間で行うことができるため、幅広く行われています。
測定原理
一般的に、黒鉛球状化率80%以上の鋳鉄がダクタイル鋳鉄と規定され、80%未満の鋳鉄はダクタイル鋳鉄として要求される強度・粘り強さを備えていないため、ダグタイル鋳鉄と呼ぶことができません。このため、黒鉛球状化率は、ダクタイル鋳鉄の鋳造において欠かすことができない重要な管理項目です。
黒鉛球状化率と超音波の伝わる速度(音速)との間には、下のグラフのように相関関係があります。超音波音速計による球状化率の測定では、この関係を利用し、超音波で鋳鉄の音速を測定し、音速から黒鉛球状化率を推定します。
黒鉛球状化率と音速の関係
測定方法
まず、超音波音速計に測定箇所の鋳鉄の厚さを入力します。次にトランスデューサー(プローブ・探触子)と呼ばれる超音波センサーを測定箇所に接触させると、瞬時に音速が表示されます。
トランスデューサーを鋳鉄に接触させると、トランスデューサーから鋳鉄に入射した超音波は、鋳鉄の反対面に反射し戻ってきます。超音波音速計では、発信した超音波が戻ってくるまでの時間(伝播時間)と、事前に入力した鋳鉄の厚みを元に、下の計算式から音速を算出します。
音速(C)= 2 × D / t
D:厚さ t:伝播時間
このように超音波音速計では、トランスデューサーを接触させるだけで、瞬時に音速を測定し、黒鉛球状化率を推定することができます。顕微鏡での観察に比べ、熟練が不要で場所を選ばず行うことができるため、現場での測定に適しています。
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