水中での厚さ測定 Application Notes - Thickness Measurement
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水中での厚さ測定
船底、橋梁、桟橋、鋼管杭、水中パイプライン等の水中での厚さ測定には、通常の超音波厚さ計を使用することはできません。専用に設計された防水仕様の超音波厚さ計とトランスデューサー(プローブ・探触子)を使用する必要があります。
ここでは水中での厚さ測定について説明します。
測定方法
水中での厚さ測定には、2つの方法があります。
1つは、厚さ計本体は陸上に残したまま、水中測定に対応した長いケーブルのトランスデューサー(プローブ・探触子)を水中に持ち込み、厚さを測定する方法です。10m未満の比較的浅い水深での測定に適した方法です。
水中専用のトランスデューサーが必要ですが、厚さ計本体には汎用的な厚さ計を使用する事ができます。トランスデューサーケーブルをより長くすることで、10m以上の水深での測定も可能ですが、感度の悪化や精度の低下を招く恐れがあります。ケーブル長さを15m以上に延長する場合は、Aスコープ搭載の厚さ計(MVX、CMX DL+)を使用してください。
もう1つの方法は、厚さ計本体とトランスデューサーの両方を水中に持ち込み測定する方法です。
この方法では、浅瀬から50m以上の深い場所まで、幅広い水深で厚さを測定することができます。厚さ計とトランスデューサーともに水中測定専用となります。
想定される腐食状況により、1回測定法、2回測定法、多点測定法、精密測定法を組み合わせて測定します。各測定法については、超音波厚さ計の測定方法(基礎)を確認ください。
測定方法(基礎)はこちら水中構造物は、腐食の進行や貝などの付着物により、測定面の状態が非常に悪い場合が多くあります。そのままの状態では測定できません。ワイヤーブラシ等で表面をきれいに処理してから測定してください。
*水中、特に海水での測定は、トランスデューサーの消耗を著しく早めます。必ずスペアのトランスデューサーを携行することをお勧めします。
水中トランスデューサー
(ケーブル長さ15m)
UMX-2
海底パイプラインの厚さ測定
海底パイプラインは、天然ガスや石油、プラント冷却用の水等の液体を輸送するため、海底に敷設されています。敷設後の海底パイプラインの検査は困難ですが、比較的浅い海では、ダイバーが潜水することにより、超音波厚さ計を用いてパイプラインの残存厚さを直接測定することが出来ます。
海底パイプラインの直径は、250mm程度の小径から、5m程度の非常に大きなものまで、様々なサイズがあります。また敷設状況も様々で、海底の地中に埋設しているものもあります。パイプラインの径が大きく、人が中に入ることができる場合には、内側から測定することもあります。ライニングの厚さ、ライニングを剥がして貼りなおすことの金銭的・時間的コスト、地中に埋まっているかどうか、流れている媒質などを加味し、内側からの測定を判断します。
ダイバーが潜水して測定する場合は、水中測定専用の超音波厚さ計UMX-2を使用します。測定箇所は、パイプラインの周方向に90度毎に4点、45度毎に8点などとし、これを軸方向に一定間隔で測定していきます。
UMX-2
鋼管柱(水中構造物)の腐食検査
水中構造物の一つに、橋梁などを支える鋼管柱があります。水に触れているため、陸上の構造物よりも腐食が進行しやすく、定期的な検査が必要です。また、許容を超えた減肉が進行している場合は、安全のため補修を行う必要があります。
通常、測定は腐食環境の異なる箇所を測り、減肉状況を確認します。一例として、高さの異なる4か所を測定点とし、それぞれの箇所で5点を測定する方法を紹介します。
ポンツーン(浮桟橋)の腐食検査
ポンツーンとは、船舶・ボートへの乗降り、物資の積み下ろしや船舶の係留などを目的に設置されている箱状の浮桟橋ことです。錨(いかり)などで固定し、陸岸とはタラップ(渡り橋)で連結されています。鉄製のポンツーンは、水に触れているため、陸上の鉄製構造物よりも腐食が進行しやすく、定期的な検査が必要です。
ポンツーンの腐食検査では、下イラストの側面図の赤印のように、高さの異なる複数箇所を厚さ計で測定し、腐食状況を把握します。
上面図
側面図
使用後のお手入れ
トランスデューサー
水中用トランスデューサー(プローブ・探触子)は、淡水を貯めたバケツ等に浸して、確実に塩分や汚れを落としてください。
特に、ケーブルと本体の接続部は、入念に塩分・汚れを落としてください。
水中ハウジング
淡水で表面をきれいに洗ってください。Oリング(ゴムリング)に異物(砂、海草、髪、その他)が付着している場合は、取り除いてください。
対応トランスデューサー
周波数 | 径 | 種別 | 探触子 | 対応機種 | 部品番号 |
---|---|---|---|---|---|
3.5MHz | 18mm | 水中測定用(UMX-2専用) | 二振動子 | UMX-2 | TT-D3-12UWCT |
5.0MHz | 18mm | 水中測定用(UMX-2専用) | 二振動子 | UMX-2 | TT-D5-12UWCT |
5.0MHz | 18mm | 水中測定用(ケーブル長15m) | 二振動子 | ZXシリーズ、MVX、CMXシリーズ | TT-D5-12WP15 |
*ケーブル長さが15mの水中測定用トランスデューサーは、すべての一般・腐食検査用の超音波厚さ計で使用する事ができます。